■科名:フトモモ科
■抽出部位:葉の付いた枝
■抽出方法:水蒸気蒸留法
■特性成分:
1,8-シネオール(モノテルペン・オキサイド類)50~60%
α-ピネン(モノテルペン類)8~10%
ビリジフロロール(セスキテルペン・アルコール類)4~7%
ネロリドール(セスキテルペン・アルコール類)1~6% など
■特徴
ニアウリはティーツーやカユプテ同様、フトモモ科メラレウカ属(コバノブラシノキ属)の植物です。メラレウカ属は約140種からなる大きな属で、そのほとんどがオーストラリア産です。
ニアウリの場合は、ニューカレドニアが原産ですが、今日ではマダガスカルでも盛んに栽培が行われています。
メジャーなティーツリーのエッセンシャルオイルに比べ、あまり知られていませんが、古くから医療分野で使われてきた実績があり、「ゴメノール」と呼ばれていた精油です。
ケモタイプの精油で、1,8-シネオールという成分が多く含まれるタイプとネロリドールという成分が多く含まれるタイプがあります。
一般的に用いられるのは、この1,8-シネオールが多く含まれる精油です。ユーカリ(ラジアタ種やグローブルス種)に似た 1,8-シネオールのさわやかな香りのなかに、独特の芳香を有します。
抗菌 ・抗ウイルス作用に優れ、咳や気管支炎の治療効果のあることや循環を促す作用のあることがわかっています 1) 2) 。民間療法としてリウマチ、神経痛、膀胱炎などにも用いられてきました。
風邪(上気道感染症で喉、副鼻腔、喉頭にも影響を及ぼす)を引いた場合には、ローズマリー・シネオールRosmarinus officinalis BS 1,8-cineole、ラヴィンサラCinnamomum camphora BS 1,8-cineole、ユーカリラジアタEucalyptus radiataとブレンドし、外用(ローション)としてケアに用います。
激しい咳が出るときには、背中に塗布します。これは、胸に塗ると上気道への刺激が強すぎるからだと言われています(ニアウリを単独で使用した場合)。ただし、ニアウリは皮膚を刺激する性質があるので、皮膚の敏感な方は植物油で希釈し、皮膚をあまり強く擦らないように注意します。ニアウリに多く含まれている1,8-シネオールは、肺機能と健康状態の顕著な改善につながるだけでなく、喘息患者の呼吸困難を軽減する可能性があることが研究によりわかっています 3) 。
ニアウリの精油は加工や調整されたものが市場に多く出回っています。ニアウリ固有の成分と言ってもいいビリジフロロールが含まれているか否かが、100%天然かどうか見分ける目安にもなります。
■主な作用
・抗感染作用があります。
・去痰作用があります。
・咳を鎮める作用があります。
・炎症を鎮めます。
■備考
日本では同属のティーツリーの陰に隠れて、あまり使われていない精油ですが、耳鼻咽喉領域、呼吸器系の日常のトラブルに使える身近な精油として、同属で作用特性も似ているカユプテMelaleuca cajuputiとともに、欧米では評価の高い精油です。
Reference:
1) Blumenthal, M.; Busse, W.R.; Goldberg, A.; Gruenwald, J.; Hall, T.; Riggins, C.W. e Rister, R.S.(eds.) - The Complete Commission E Monographs: Therapeutic Guide to Herbal Medicines. 1998, 1st edition. Boston, MA: American Botanical Council. p.174
2) Yang Z, Wu N, Fu Y, Yang G, Wang W, Zu Y, Efferth T. (2010), “Anti-infectious bronchitis virus (IBV) activity of 1,8-cineole: effect on nucleocapsid (N) protein.” J Biomol Struct Dyn.; 28(3):323-30.
3) Worth H & Dethlefsen U (2012) “Patients with asthma benefit from concomitant therapy with cineole: a placebo-controlled, double-blind trial.” J Asthma.; 49(8):849-53.
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