苦みのある柑橘 Citrus aurantium

古くからお正月飾りに欠かせない “ダイダイ”の実。鮮やかな橙色が寒空によく映えます。ダイダイは「代々栄える」の意味があるとも言われ、縁起物になっています。学名はCitrus aurantium L. var. daidaiで、東アジアが原産です。日本に伝わったものは酸味と苦味が強いのでポン酢などにも利用されています。[1]

 

Citrus aurantiumは苦みのある柑橘のことで、今日では、地中海やアフリカ、南米、カルフォルニアなどの温暖な地域にも広く分布しています。

 

Citrus aurantium L. var amaraという種類のビターオレンジは、アロマテラピーでもよく知られています。その花からはネロリ、葉からはプチグレンのエッセンシャルオイルがつくられます。果皮から圧搾法で得られたエッセンスもありますが、果皮はグラン・マルニエGrand Marnierという苦いオレンジの風味のするリキュールの原料になったりもしています。[2]

 

白い花から抽出されるエッセンシャルオイル「ネロリ」は希少で高価ですが、その香りはほんの1滴で心身の疲れを癒してくれほどの心地よさがあります。疲れすぎて寝付けないときなど、首筋に1滴塗るとよいでしょう。

 

ビターオレンジの葉から抽出されたプチグレンは、ネロリより安価でアロマテラピーに使いやすいエッセンシャルオイルです。ビターオレンジ・リーブスとも呼ばれますが、厳密には葉(リーブス)だけを蒸留するのではなく、花が咲き終わり、小さい緑色の実が付き始めた若い小枝をまるごと水蒸気蒸留します。プチグレンとは「小さい実」という意味です。

 

ネロリのように華やかな香りはしませんが、みかん畑を彷彿させるやさしい香りがします。エステル類(酢酸リナリル)が多く含まれ、リラクセーションや美容のためのマッサージオイルや芳香浴に最適です。

 

17世紀頃からネロリやその芳香蒸留水は使用されていましたが、18世紀になってDesbois de Rochefortという医師が、プチグレンに優れた抗痙攣作用を見出し、その使用を提唱しました。神経質で過緊張になりがちな人を助けるエッセンシャルオイルとして知られています。[3]

 

不安やストレス、不眠症に対処するためには、ラベンダー6滴、ローマンカモミール1滴、プチグレン3滴をスイートアーモンド油15mlに混ぜ、首、肩、背中にやさしくマッサージし、みぞおちにも塗るとよいでしょう。

 

Reference:

[1] 公益社団法人日本薬学会. ダイダイ, https://www.pharm.or.jp/yakusou/2023/01/post-87.html (2023.12.26参照)

[2] Grand Marnier, https://www.grandmarnier.com/(2023.12.26参照)

[3] Mailhebiau, P. (1994). LA NOUVELLE AROMATHERAPIE. JAKIN, 281.