初夏は柑橘の花が咲いて、香りを楽しむことができます。その頂点に君臨するのがオレンジの花“ネロリ”です。香りをかぐだけで癒され、心身によい影響を与えることは想像に難くありません。
ネロリの香りをかぐことで、閉経後女性の更年期症状、ストレス、エストロゲンに及ぼす影響を調べた研究(2014年・韓国)があります。
0.1%または0.5%のネロリのエッセンシャルオイルをかぐグループとアーモンド油をかぐグループとに分け、1日2回、5分間、香りをかぐのを5日間続けてもらい、実験前と後に下記を用いて評価しました。
●MENQOL(=The Menopausal Quality of Life Questionnaire)という閉経後女性の更年期症状を調べる質問紙を用いて生活の質(ホットフラッシュや動悸などの血管運動症状、身体の状態、精神・心理面の状態、性機能)を測定しました。
●VAS(=visual analog scale。視覚的評価スケール)で性欲とストレスの強さを測定しました。
●血圧と脈拍を測定しました。
●血液検査で血中コルチゾールとエストロゲン濃度を測定しました。
結果は、ネロリのエッセンシャルオイルをかいだグループは、MENQOLにより更年期症状に関するQOLが改善したことが示されました。また、性欲VASスコアが有意に上昇したことから、少なくとも被験者の主観においては性欲が増強されたことが示されました。そして、血圧は有意に低下しました。一方で脈拍、血中コルチゾール、エストロゲン濃度については、ほとんど変化は認められませんでした。
これらの結果は、ネロリのエッセンシャルオイルをかぐと、ストレスが軽減されたと自覚でき、更年期障害と言われるさまざまな症状を緩和する可能性のあることを示唆しています。
更年期はミドルエイジ・クライシスとも言われ、人生の折り返し点でもあります。身体的変化に加え、家族や仕事などのライフスタイルの変化も重なり、ストレスが多い時期です。ですが、まだまだ活動期であり、人生を楽しめる年齢です。香りをかぐという簡便なアロマテラピーを利用してストレスを上手にかわし、QOLを上げることに繋げたいですね。
Reference:
Choi, S. Y., Kang, P., Lee, H. S., & Seol, G. H. (2014). Effects of Inhalation of Essential Oil of Citrus aurantium L. var. amara on Menopausal Symptoms, Stress, and Estrogen in Postmenopausal Women: A Randomized Controlled Trial. Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine, 2014: 796518.