ロウバイ(蝋梅)は香りがよいけれど

ロウバイ(蝋梅)Chimonanthus praecoxが見ごろです。今冬は落葉が遅く、開花時には枯葉が枝についていましたが、やっと落葉して花だけになりました。蝋細工のように透き通った花が冬空に映えます。

 

香りもよく、花にはボルネオール、リナロール、カンファー、ファルネソール、1,8-シネオールなどの芳香成分が含まれています[1]。

 

花は可憐ですが、ロウバイの種子にはカリカンチン(アルカロイドの一種)という有毒成分(神経毒でヒトおよび動物に強直性痙攣などを起こす)が含まれていることが知られています。

 

東京生薬協会の資料によれば、有毒部位は全株、特に種子[2]となっており、他の資料でも根、葉、花、種子(果実)にもカリカンチンは存在する[3]と報告されています。家畜の中毒事故も起きている[4][5]ので、注意が必要です。

 

Reference:

[1]山科植物資料館, https://yamashina-botanical.com/botanical/%E3%83%AD%E3%82%A6%E3%83%90%E3%82%A4-2/

[2]公益社団法人東京生薬協会, https://www.tokyo-shoyaku.com/ohana.php?hana=598

[3]Lu M., Lu X., Yu Z., and Wen C.(2021).Determination and pharmacokinetics of calycanthine in rat plasma by UPLC-MS/MS. Acta Chromatographica 33(1), 91-95.

[4]Numan RW, Ackermann SS, Shelgren JS. (2016). Wintersweet (Chimonanthus praecox) toxicity in four goats. N Z Vet J. 64 (3):179-81.

[5]春山優唯(2020). 羊のロウバイ中毒疑い事例, 日獣会誌73, 249~252.