レモンらしさの正体

北半球では冬に柑橘の旬を迎えます。レモン、オレンジ、グレープフルーツなどは果皮から精油が抽出されます。果皮のブツブツ(油胞)に詰まっているエッセンスを圧搾します。

 

柑橘の果皮に共通して多く含まれている成分はd-リモネンです。レモンには約65~75%、オレンジには約93~95%、グレープフルーツには約92~95%含まれています。

 

d-リモネンは、柑橘らしい香りのする共通した主要成分ですが、d-リモネン以外に微量に含まれている成分が、レモンらしさ、オレンジらしさ、といった種別の特徴的な香りを表現しています。

 

レモンの爽やかな香気成分は1%前後含まれるゲラニアールやネラール(ともにアルデヒド類)、オレンジの甘いフルーティな香気成分は1%にも満たないシネンサールやデカナール(ともにアルデヒド類)、グレープフルーツは1%にも満たないヌートカトン(ケトン類)です。もちろん、この他のアルデヒド類やアルコール類、エステル類なども関与していますが、微量にしか含まれていない成分が融合し、個の香りがつくられます。

 

これらの柑橘系の精油は、万人に好まれる香りでもあり、芳香浴に最適です。一方、リモネンを多く含むため、皮膚刺激があり、また、光毒性を有するものもあります。香料として微量をブレンドする場合はありますが、アロマテラピーを行う上では、皮膚塗布するメリットはありません。

 

レモン、オレンジ、グレープフルーツなどの果皮は食用できることから、精油も飲用に適しています。特にレモンはリモネン以外の成分が比較的多く含まれているので、アロマテラピーに用いられます。

 

料理や製菓に果皮の香りを使いたい場合には、精油で代用することもできます。オーガニックの生果を入手することは容易ではありませんが、オーガニックの品質の確かな精油を使えば、雑味のない香りづけが簡単です。