寒さが日に日に増してくると、インフルエンザや新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の流行が気になります。
最近の研究で、ユーカリのエッセンシャルオイル(1,8-シネオールの含有率が高いユーカリグローブルスなど)がこれらのウイルスに対して効果を示すことがわかってきました。ユーカリのエッセンシャルオイルには、1,8-シネオールのほかにもリモネンやα-ピネンなどのモノテルペン類が少量含まれていますが、主成分である「1,8-シネオール(ユーカリプトール)」がその効果のポイントです。
これまでもユーカリのエッセンシャルオイルは、伝統医療で風邪、肺結核、鼻詰まり、副鼻腔炎、気管支疾患、喘息など、特に呼吸器感染症を治療するために広く使用されてきましたが、インフルエンザやその他の呼吸器系感染症、さらには新型コロナウイルスに対する予防・緩和にも期待されています。
●抗ウイルス作用
ユーカリのエッセンシャルオイルには抗ウイルス作用があり、インフルエンザウイルスや新型コロナウイルスの感染力を低下させることが研究で示されています。ウイルスの外側にあるタンパク質に作用し、ウイルスが細胞に侵入するのを阻止するため、感染初期にウイルスの活動を抑えて症状の悪化を防ぐ効果が期待されています。
また、新型コロナウイルスが体内で増殖するためには、ウイルスにとって必要なたんぱく質を作る酵素(メインプロテアーゼ)が重要な働きをしていますが、このメインプロテアーゼの働きも阻害することが示唆されています。つまり、ウイルスが増殖する力を弱めることで有効な治療手段になり得る可能性が言及されています。
ちなみに、医薬品の分野では、メインプロテアーゼの働きを阻害することでウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬が既に実用化されています。
●抗炎症作用
ユーカリのエッセンシャルオイルは気道の炎症を抑える働きもあり、インフルエンザや新型コロナウイルスによる過剰な免疫反応(サイトカインストーム)を和らげることが期待されています。1,8-シネオールは、炎症シグナル伝達経路を抑制することで、肺へのダメージを軽減し、肺炎への進行リスクを減少させる可能性があります。これにより、気道の過剰反応や重篤な症状の発生も防ぐ効果が期待されています。
●去痰・気道拡張作用
ユーカリのエッセンシャルオイルには、気道を広げて痰を出しやすくする作用もあります。これにより、呼吸が楽になり、気道内に感染物質が溜まりにくくなります。呼吸機能が保たれることで、肺炎などの重篤な症状の予防に役立つと考えられます。気管支炎やインフルエンザ、新型コロナウイルス感染などによる呼吸の不快感や閉塞感の軽減にも役立つ可能性があります。
家庭でユーカリのエッセンシャルオイルを効果的に活用するには、ディフューザーなどを用いて部屋に拡散させる方法(芳香浴)が一般的です。空気中に拡散したエッセンシャルオイルの成分が、ウイルスに直接作用し、感染リスクを下げるのに役立ちます。また、抗ウイルス作用や去痰作用、抗炎症作用などによって呼吸器を守り、吸い込む空気を清浄に保つ効果が期待できます。
Reference:
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