エッセンシャルオイルの性質

植物は光、水、空気中の二酸化炭素を原料として光合成を行い、さまざまな有機化合物をつくり出します。その有機化合物は、“一次代謝物”と“二次代謝物”に分類されます。

 

一次代謝物:植物が生命を維持するのに必須の物質で、糖、タンパク質、脂質、核酸などが含まれます。

 

二次代謝物:一次代謝物から派生してできた物質で、ストレス応答や他の生物との相互作用に重要な役割を果たす有機化合物です。アルカロイド(植物毒)、色素、テルペノイド(エッセンシャルオイルの成分)などが含まれます。

 

移動できない植物は自らが有機化合物をつくり出し、外敵や感染を防御したり、受粉のために昆虫を誘引しています。そして、人間は植物(野菜や穀物)などに含まれる一次代謝物を栄養として摂取し、二次代謝物を薬として利用してきました。二次代謝物は、薬の原料にもなる物質のことで、エッセンシャルオイルはまさに薬の宝庫とも言えます。

 

エッセンシャルオイルを構成する成分の多くはテルペノイドと総称される物質で、炭素(C)、水素(H)、酸素(O)からできています。まれに窒素(N)、硫黄(S)を含むこともあります。エッセンシャルオイルの成分は炭素(C)を多く含むため、油に近い性質があり、水に溶けにくい(つまり油とは仲よし=親油性)のが特徴です。

 

エッセンシャルオイルの副産物である芳香蒸留水には、水に溶けやすい極性化合物が多く含まれています。エッセンシャルオイルには「親油性(疎水性)」の他にも、「芳香性」、「揮発性」という特徴があります。