原料植物の正確な名称はラテン語表記


何のエッセンシャルオイルがボトリングされているのかを正確に知るためには、国際植物命名規約に則った二命名法(属名と種小名の列記)によるラテン語表記の学名botanical nameが記載されてなければなりません。なぜなら、同じ属の植物でも、種、変種、亜種の違いによって、成分組成が異なるからです。

 

  例) Eucalyptus radiata  (Eucalyptus =属名、radiata=種小名)

 

ユーカリラジアタの植物写真
Eucalyptus radiata

例えば、通常「ユーカリ」と呼ばれている植物は、実際には600以上もの種の違いがあり、そのうちアロマテラピーのエッセンシャルオイルとして用いられるのはごく限られた種類です。代表的なユーカリ属のエッセンシャルオイルは、ユーカリ・シトリオドラ Corymbia citriodora* 、 ユーカリ・グローブルス Eucalyptus globulus、ユーカリ・ラジアタ Eucalyptus radiata の3種ですが、それぞれ香りも成分組成も異なり、したがって作用特性 も異なります。

 

「ユーカリ」 は一般に呼吸器系のトラブルに有効とされていますが、それはユーカリ・グローブルスとユーカリ・ラジアタには当てはまりますが、主にマッサージに使用するユーカリ・シトリオドラには該当しません。

 

また、ユーカリ・グローブルスは気管支・肺の下気道のトラブルに、ユーカリ・ラジアタは鼻や喉など上気道のトラブルに効果を発揮します。例えば、しつこい咳や痰が続く場合はユーカリ・ラジアタではなくユーカリ・グローブルスを選択しなければなりません。つまり、これら3種類のエッセンシャルオイルを 「ユーカリ」 という慣用名common nameの表記で一括りにはできないのです。

 

*ユーカリ・シトリオドラは植物学名が Eucalyptus citriodora と表記される場合もあります。


Corymbia citriodora

慣用名:ユーカリ・シトリオドラ

特性成分 :シトロネラール、シトロネロール、イソプレゴールなど

主な作用特性 : 炎症や痛みを鎮めます。筋肉や腱のこわばりをほぐすのでマッサージに最適です。蚊などの虫を避けます。

 

<Eucalyptus globulus

慣用名:ユーカリ・グローブルス

特性成分 :1,8-シネオール、α-ピネン、グロブロールなど

主な作用特性 /:下気道(気管支肺領域)のうっ血・うっ滞を改善します。

痰や咳を鎮めます。肺のガス交換を促します。

 

Eucalyputus radiata

慣用名:ユーカリ・ラジアタ

特性成分 : 1,8-シネオール、α-テルピネオール、リモネンなど

主な作用特性 / :気道(耳鼻咽喉領域)のうっ血・うっ滞を改善します。

炎症と痛みを鎮めます。耳鼻咽喉腔の排液を促します。

 

「ユーカリ」 あるいは 「Eucalyptus」 とだけで、それ以上の詳しい情報を表示していないエッセンシャルオイルは、種によって異なる成分組成を考慮して行われるアロマテラピーには不適当です。