■科名:フウロソウ科
■抽出部位:葉
■抽出方法:水蒸気蒸留法
■特性成分
シトロネロール(モノテルペン・アルコール類)32~51%
シトロネリル・ホルマート(エステル類)9~15%
ゲラニオール(モノテルペン・アルコール類)4~9%
リナロール(モノテルペン・アルコール類)2~5% など
■特徴
ゼラニウムPelargonium graveolensは南アフリカが原産ですが、他のテンジクアオイ属(pelargonium)と交配させることによってさまざまな栽培品種が作られ、エジプト、北アフリカ、中国、レユニオン島など、特に熱帯の地域で栽培されるようになりました。これらの栽培品種も南アフリカ原産のものと形態的に見てほとんど違いがないため、ラテン語の植物学名では同様にPelargonium graveolensと呼ばれています。
pelargoniumという名は、ゼラニウムの実の形がコウノトリのくちばしの形に似ていることから、ギリシャ語でコウノトリを意味する“pelargos”という言葉に由来しています。graveolensはラテン語で「強い香り」という意味です。
ゼラニウムの精油はしばしば香水の原料としても使われています。非常に濃厚な香りを持ち、やや繊細さに欠けるもののローズを思わせる甘い香りがするため、英語の慣用名では“Rose-scented geranium(ローズの香りのするゼラニウム)”と呼ばれています。
ブルボン・ゼラニウムとも呼ばれるレユニオン島産のは、主に香水の原料として用いられます。シトロネロール、ゲラニオールといったアルコール類が多く含まれているので、香りが立ちます。一方、エジプト産や中国産のは、アロマテラピーに適しています。シトロネリル・ホルマート(エステル類)が多く含まれていて、香りがやわらかく、成分的にみてスキンケアなどにより適しているからです。
ゼラニウムは、一見応用範囲の広いさまざまな作用特性に恵まれていそうですが、単独で強い効力を発揮する精油ではありません。どちらかと言えば、他の精油の効力を促したり、相乗効果を高めるためにブレンドで使用されるタイプの精油です。
成分だけでその精油の特徴を断定できないのがアロマテラピーに用いられる精油の奥の深さです。例えば、成分的にはゼラニウムのような豊饒さに欠けるラヴィンサラCinnamomum camphora(1,8-シネオールタイプ)のほうが単独で使用しても疾患に対するさまざまな効果に優れ、アロマテラピーでは最も重宝される精油の一つになっています。
ゼラニウムは飲用しても危険ではありませんが、皮膚吸収されることによって効果を発揮する精油です。収れん作用と殺菌作用があるため、虫刺されやニキビ、スキンケアなどに他の精油とブレンドして使用します。リンパドレナージュを目的としたマッサージにも効果的です。
また、濃厚な花の香りを持つゼラニウムは芳香浴用のブレンドにも使われます。ローズをやや甘く味付けしたような香りが心地良く鼻腔を刺激し、気分を明るく前向きにさせてくれることでしょう。
■主な作用
・皮膚細胞の再生を促します。
・収れん作用があり、脂性肌や毛穴が目立つ方のスキンケアに適しています。
・皮膚に対して抗感染作用があります。
・体液の滞留を改善します。
■備考
精油の原料になるゼラニウムPelargonium graveolensは、プランターなどに植えられてベランダや窓辺に飾られている観賞用のゼラニウムとは異なります。
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